一人一人の服


洋服はその人の生き方の反映

着る人の仕事や生活スタイル、そして生き方や考え方が反映されたものだと僕は思っています。ですから、単純に「こんな感じが流行っているからこうしましょう」という事は除外しています。たった一着が出来上がるまでに、皆さん一人一人の生活や仕事の事、考え方や好きなものなどを沢山お話頂き、あなたにあった洋服をお作りさせて頂きます。僕らがお作りさせて頂くモノは、スーツはもちろん、普段着のビスポークです。

数年前に「フランス人は10着しか服をもたない」という本がベストセラーになりました。その中にこんな事が書かれています。「服がありすぎるのに着るものがない」あなたも同じ事を感じた事があるかもしれません。僕は洋服屋ですからこんな事を言うべきではないのかもしれませんが「今、あなたが買おうとしている洋服は本当に必要なもの?」時代は無駄なものを無くしミニマムに進んで行こうという考えが数年前から人々の意識の中に存在しています。

それを着る人の生活スタイルや仕事、そして好きなもの、考え方を反映させた服は少なからず「着る為の服」としてクローゼットに存在する事になるでしょう。それは高級な服地だけに注目して製作する事ではないと僕は考えています。手作りやそれに近い手法で一人一人のサイズや趣向に合ったものを作る訳ですから、技術的・時間的に量産の製品よりは高くなります。しかし、決して高級な服地にだけスポットをあてたりという事ではありません。

少し前に製作させて頂いたのは、古いデニムの生地を使ったシャツでした。少し厚手のオンスの生地は、「長く大切に着たい」という考えが反映されていました。そして何より着る人のサイズで作り、そしてちょっとしたワンポイントのご要望を満たしていたのです。そんな風に、あなたの生き方や考え方、好きな事が反映された、クローゼットの10着に選ばれるようなモノ。それを一人一人に寄り添い製作して参ります。

 

パーソナルである事

洋服の業界で言えばパーソナルスタイリスト、多方面でもパーソナルトレーナーなど、一人一人に寄り添うサービスが沢山生まれています。情報だけが一人歩きし、溢れる情報の中で人生に圧倒されていく時代。

採寸しながら、ご相談というよりも、話す事によってスッキリする事を話されていく方も少なくありません。先ほども書いたように、みなさんの生活や仕事の事を沢山お話頂きながらの作業。打ち合わせの大半が仕事の事や生活の事になるお客様も少なくありません。友人の結婚式があるから、会社でプレゼンの時に、着るステージからではなく、大切に着るシャツが欲しいなど様々です。

「生き方の反映」がファッションであるならば、僕らの役割はただ洋服を作る事ではありません。生活や人生の中で起こる様々な事のお話を聞かせて頂きながら製作する。そんな事が最も必要な事だと考えています。一人一人にとことん寄り添うという事が役割の一つであり、そんな思いと共に仕立てていくという仕事です。ですから、流行だけを考慮して作る事はお断りさせて頂いています。着丈の長さや、アームホールの太さなど時代背景にあったものを取り入れる事は可能です。

僕らのような小資本の事業者にとって、「一人一人に寄り添う」事は本来あるべき姿に戻っていく事ではないでしょうか。世界中で、売場を埋める為の無駄な在庫が生産されています。企業から始まり、みなさんのタンスの中まで在庫で一杯な世の中です。個人個人が節約し、無駄を無くそうとしている世の中で、アパレル業界というのは30年も前のセオリーに従い在庫をつくり続けています。

需要と供給のバランスがまったく取れていない中で、役割を果たせている企業のほうが少ないのではないでしょうか。僕らも1999年に創業して以来、沢山の事にチャレンジしてきました。しかし、この一人一人に寄り添うという事がおそらく最終型になるのではないかと考えています。

 

人とは違う道を行く人の服

以前は音楽特にROCKから派生するものをコンセプトにしていた時代があります。それ以来、沢山の回り道をしてきました。「自分たちの洋服は誰の為に存在するんだ」という事を何年も考え、沢山悩んだあげく、こんな事に気づきました。ミュージシャンで言えば、ジョンレノン、ボブマーリーや沢山の才能と影響力を持った人達。経営者でいうならスティーブジョブズ、本田宗一郎氏。作家でいうなら中島らも氏などなど沢山の偉人達がいました。

この人達も僕らと同じ人間でありながら、この人達にしか見えていなかったものがあったと思うのです。そして、過去の名言や格言を読んでいて気づいた事は言い方はそれぞれ違っていても皆同じ事を感じ、同じ事を言っているように僕は思いました。

そんな事を感じている方々は僕の同志であり、他の人と同じ道を歩かない人達だと感じています。今はまだ成功していないかもしれないし、何をやっていいかもわからない人もいるでしょう。そんな同志の成功を願いながら関わる事ができる事は幸せな事です。本当の事ってなんだろう、おしゃれっていうのは何の事だろう。洋服ってなんだろう。どんな生き方をしたいんだろう。そんなふうに疑問を持ちながら、「いつか何かを変えてやろう」そんなふうに思っている方々。

僕は「人とは違う道を行く人の為の服」を作っていますから、どうか見つけ出して尋ねてきてください。そんな方々のお役に立ちたいと思っています。

 

 

私達は、自分のハートに従って生きている人達の為に寄り添います。