ティーシャツ一枚でも。


tee

スーツやシャツ、ジャケットとという堅いイメージだけではなくTシャツだってつくります。正確にいうとプリントから手刺繍まで、自由な発想で創る事が僕のやってきた事の一つです。写真のTシャツは試作というよりも自分で着る為につくりました。1着つくるのも3着つくるのも同じ手間なので出来上がったらお店に3着ほど出しておくつもりです。

プリントの上から、荒く刺繍が入っているものをやってみたかったので、思うようにプリントして自分がしたいようにしただけのTシャツです。プリントは読みにくいと思いますがMother Natureとプリントしています。

プリント台を使用しないプリント手法は、今から19年前に見よう見まねではじめました。顔料にはタトゥーインクを使用する独特で荒っぽいプリント。その荒い表現が一部のお客様から支持され今でも続けています。こんなモノもおつくり致しますのでご希望あればご相談ください。

「業界はこのままではもうダメだ」という言葉まで飛び出してきたルミネ会長のお話。セールの時期を遅らせたり、ショップスタッフの本音を書いたり、大量生産の話が飛び出したりしている。僕としては、それは根本的な解決なのかという疑問しか残らない。洋服というものの立ち位置や業界という言葉があるならば、そこに関わるモノやサービスのルールが全てひっくり返ったのだからセール時期を遅らせる事は何の解決にもならない。

そこに気づいている大手は、ニッチ市場を攻めてくる。ある一定のコアなファン層獲得の為のターゲットを定め、狭く深く商品と店作りを手がけてくる。本来これは地方の店舗がやるべき方法であって、このニッチな市場に大手が参入してくると僕らのような地方の店舗は太刀打ちできなくなる。

例えば、「サーフィン」「アウトドア」「音楽」「バイク」や「アメリカンカジュアル」や「UKファッション」といった核を持ち、有名店の店名の後に○○SURFとつくってしまえばいい。しかしこれは恒久的な解決方法ではなく、それがブームである間だけ通用するものだ。

では、地方の専門店はどうやって生き延びれば良いのだろうか。昔、僕がロングボードをやっていた頃、あるお店に板をオーダーにしに行った事がある。車で一時間かけてお店に向かったのだが、入り口には「サーフボードテスト中」という張り紙。しばらく待っていると顔見知りになってまもない店主が戻ってきた。両手には何やらでっかい紙袋2つを抱えて戻ってきたのである。

僕は、「あれ、テスト中じゃなかったんですか?」と聞くと店主は「あ~、ちょっとね」としか言わない。しかし紙袋から覗くものをみれば一目瞭然である。店主はパチンコの帰りだったのだ。無事板のオーダーを終え帰り途中にこの店主を紹介して下さった先輩に電話を入れるとこんな話が聞けた。「○○さん(店主)の所に遊びに行った時、カップルが入ってきて『あの~花柄の板欲しいんですけど』と言うと店主がこう言ったんだよね『サーフィンは柄でするんじゃねぇんだ』売っときゃいいのに・・」と。

この話を聞いて僕はこう思った。「この店でオーダーして良かった」と。話を元に戻すと専門店というのはこういうものだ。いくら時代が進化しようがテクノロジーが進化しようが、こういうものなのである。昔rockというジャンルができて、そのあとパンクというジャンルが確立され、さらにオルタナティブやグランジと呼ばれる音楽が広まった。イメージとしては、悪い子の聴く音楽→もっと悪い子の聴く音楽→どうしょもない悪い子の音楽の順と僕は考える。

しかし、さすがの悪い子達も商業主義の中ではどうにもできず、一旦商業主義に飲み込まれてしまったモノは取り返しの付かないくらい洗練されて、ある意味ダサくなっていき、その宿命を終えるものだ。現代には当てはまらないけれども、僕らの世代のかっこいいは危険なものだった。

昔話は現代の人にとってはどうでもいい事です。ただ、恐らく地方で衣料品店を経営していらっしゃる方々の多くが僕と同じ世代か少し上くらいの方が多いのではないでしょうか。皆さん経験があると思いますけれども、あの頃からの進化が途絶えてしまっているように思うのです。時代が違うといえばそれまでですけれども、なんとなく思うんです。店を、会社を少しでも立派に大きくみせたいと僕だって思っていました。しかし、本当に必要な事はなんでしょう。そして、上辺でないって事が役割ではないでしょうか。

その役割の中に、このアパレルと呼ばれている業種の新しい切り口が潜んでいるように僕は思っています。ルミネの会長様が言われている事もわからないではありませんが、もっと地べたに足をくっつけたベタベタなところに答えがあるように思えてしかたないのです。そして「アパレル」という言葉を全ての洋服屋に当てはめて話されていたり、考えられていますけれどもそもそもそれが乱暴すぎるようにも思えます。

故中島らもさんの言葉を引用させてもらうと

「我々」とは誰のことなのか。私は少なくとも自分が「我々」の一部であると断言する自信はない。

つまり「アパレル業界」なんてものに属さないつもりで運営したらいいんじゃないでしょうか。少なからず僕はそう思っています。

 


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